


※昨日夕方の岐阜駅、今頃何のライトアップかな?
臆病の一歩踏み出す二月かな (阿部みどり女)
最近読書より高樹のぶこ著「百年の預言(上)(下)」のご紹介です。

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百年の預言(上)(下)
著者:高樹 のぶ子
朝日新聞社 1400円+税
岐阜県立図書館借り出し
読んだ日:2013年1月12日(土)

百年の預言(上)目次
アカシアの六月
薔薇の余韻
謎の楽譜
東からの湿った風
森の奥ふかく
解かれる謎
百年の預言(下)目次
ボルンべスクへの旅
滑車はまわる
渦の中へ
冬の炎
凍える空
ルーマニアの革命
エピローグ

東欧に革命の嵐が吹き荒れる前夜、1986年6月のウィーンで外交官の真賀木奏とバイオリニスト走馬充子は出会った。妻を失い慎重な男と情熱的な女は奔馬のごとく愛し合い、求め合う。運命の偶然か神が仕組んだ必然か、亡命者からもたらされた謎の楽譜が二人を歴史的動乱の渦に巻き込んでいく。
ウィーン日本大使館参事官真賀木奏と走馬充子は金沢でバイオリンを習う子供として知り合っています。大人になってウィーンで出会った時真賀木は妻を亡くし、その責任が自分にあるという重荷を感じています。充子はかつての恋人だったひとの相手の女性グリグーツアから弟センデス・ヴォイックへのメッセージを委託されています。外交官である真賀木にその依頼を助けてもらう事で自然にこの混迷の東欧の政局に巻き込まれていくのです。
私は偶然この本に出会ったのですが、読み終わった後も頭の中を「バラーダ(望郷のバラード)」がグルグル回っています。繰り返し、繰り返し流れています。

朝日新聞に連載された小説とのことですが、朝から中々情熱的な描写が続きあまり新聞連載には相応しいのかな?とちょっと余計な心配もしました。

私的には(上)は飛ばしても良かったのでは、など不謹慎な心持ですが、絶望の淵から立ち上がろうとする人々を、豊かで何の不自由も感じない自由人のインテリたちが、いい様にかまっているように見えなくもありませんでした。センデス・ヴォイックの家族と充子や真賀木の家族の違い方が、フワフワと落ち着きませんでした。地球に起こるいろいろなことはそういったものなのかもしれませんが、自分がセンデス・ヴォイックやバルバレスクであったらどう生きただろうとしみじみかんがえました。人は混乱を遠くから想像することは出来ても、その中に実際に入り込んみるとそこで起きている真実に始めて気づき、そして、もう手遅れで有る場合が沢山あり、ドラマとしての人生が生まれます。

「たった一日で人生が変わる日もある一方で、ひと月ふた月、月の満ち欠けが繰り返されても何ひとつ自分には変化が起きないと感じる一時期もあるもの。」

「エネルギー不足、と思えるのは、単に電力節約を強いられて夜は街全体が暗いことだけでなく、人々の心からもエネルギーが消えて、女たちからは美しく装って男たちの目を惹こうとする意欲が、男たちからは今の状況を変えよう、あるいは耐えて待とうとする強さが、老人たちからは思い出を懐かしむやさしさが、失せてしまっている点も同じだ。」

ウィーン、ブラショフ(ルーマニア)、金沢と音楽で繋げられていますが、観光名所ばかりが登場するのに、自然や街や住む人々については殆ど語られないという珍しい記述の小説でした。
byニコちゃんでした。

ラベル:天満敦子